森山大道
「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道」
2021年 日本
監督:岩間 玄
出演:森山大道、神林 豊、町口 覚
出演者の名前でわかるように、森山大道一人のドキュメンタリーではなく、森山大道の写真集「にっぽん劇場写真帖」ができあがるまでのドキュメンタリー。始めのナレーションは森山と同じ大阪府池田市出身の俳優菅田将暉。
私の青春時代には寺山修司や藤圭子との仕事での森山の写真を何度も見ていたはずだが、そのころは写真家に興味がなくて、彼の名前を意識したのは、たぶん病み上がりの宇多田ヒカルが雑誌に森山大道が撮った写真で登場した時だったと思う。宇多田ヒカルが彼女のオフィシャルサイトで「超大物の写真家とコラボした」といった内容の書き込みをしていたので、インターネットで彼を調べて、あの写真を撮った人だったのかと思ったぐらい、彼については何も知らなかった。その後人生に躓き続けてうな垂れていた時に、寺山修司を思い出し本を読んでいるうちに森山大道にも興味をもつようになった。ただそれだけのことで、彼の作品を理解しているわけではない。しかし、彼の作品にはなんとなく心惹かれる。理由はわからない(笑)
今回の映画では、彼の心は「永遠の少年」だなあと思った。
1秒先の彼女
2020年 台湾
監督:チェン・ユーシュン
俳優:リー・ペイユー、リウ・グァンティン、ヘイ・ジャージャー
何をやっても人よりワンテンポ早い女と、ワンテンポ遅い男の恋愛コメディー。
私は10代の頃からSF小説を読むようになって、タイムリープやタイムトラベルなど時間ものの物語をよく読んできたが、この物語のような時間概念は初めてなので、楽しかった。SF小説ではやたらと時間を物理学的な用語で説明したものが多くあったが、物理学の時間概念についてある程度知るようになると、物理学用語を多く使えば使うほど嘘っぽく思えてきて、物語を楽しめなくなってしまった。この映画は極めて単純明快に時間を日常用語で説明しているので、素直に物語の世界へ入り込めた。
久しぶりにほっこりできる映画を観た。主人公の女シャオチーを演じるリー・ペイユーは物語上でコミカルな30歳女であるのに、彼との記念撮影の時の顔は素晴らしい魅力的な美人になっている。女性を美人に撮るとはこういうことかと感心した。主人公と同じ銀行員役のヘイ・ジャージャーはNHK囲碁番組の時よりおとなしい化粧で、こちらの顔も魅力的だと思う。主人公との下ネタ会話も面白かった。