kiyomizuzaka48の日記

一日一日を楽しく暮らしている老人の暇つぶしです。使用しているカメラはZ50とZ6とCOOLPIXーW300です。適当に撮って楽しんでいます。

ある女優の不在

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2018年 イラン イラン語(ペルシャ語)とトルコ語

監督:ジャファル・パナヒ

俳優:ベーナズ・ジャファリ、マルズ・レザイ、ジャファル・パナヒ、ジャヘラザード(コブラ・サイーディ)

 

イラン人の映画監督には世界中の映画祭で賞を受賞した人がたいへん多いが、このジャファル・パナヒはカンヌ映画祭で新人監督賞を受賞して以後、世界三大映画祭で受賞しているイランを代表する監督だ。彼はイラン政府から反体制的だとして逮捕されたあと、映画製作禁止を命令されたのだが、セルフドキュメンタリーという形で映画を作り世界中で上映している。そういう事情を考えると、イランという国は映画についてかなりおおらかなように思える、なにしろ小学生の女の子が学校の授業で映画製作について学んでいて、18才の女の子が監督としてアフガニスタンでロケをした映画が日本で上映されているほどだから。

この映画もパナヒ自身が出演しているが、「人生タクシー」(2016年)よりもドラマ性が前面に出ている。

この映画がイラン北西部のトルコとの国境近くアゼルバイジャンの村で撮影されているのだが、この村はパナヒの生まれ故郷。イラン語(ペルシャ語)よりもトルコ語が通用する社会だ。だから、村人の多くはトルコ語を話している。

去年、NHKの特集番組でイランで日本人の井筒俊彦についてのドキュメンタリーが制作されたということが紹介されていたが、その中でテヘラン大学で日本語を学ぶ学生達は「イラン人は井筒俊彦について日本人よりもよく知っている」といっていた。この井筒俊彦という人物は、テヘラン大学で日本語や日本文化を教えていたが、当時イランの支配者であった王族たちと近い関係にあったということで、イラン革命の時に、日本へ帰国した人で、エジプトでも現地ガイドからエジプト人にもっとも有名な日本人と言われたほど、日本を初めとしてイスラムやアジア各地の文化・宗教に精通した哲学者だが、残念ながら私も含めて日本人の多くは彼のことを知らない。彼のコーランを日本語の話し言葉で訳した文庫本はとても面白かったが哲学的な本は今、四苦八苦して読んでいる(苦笑)

私は日本で上映されたイラン映画を観るのはこれで12本目だが、一度イランへ観光旅行に行ってからは、イラン映画を観るポイントがまるで変わった。映画で描かれるイラン人の日常生活から日本人以上におもてなしを大切にするのだと知ったのも映画からだ。