2019年 フランス、カタール、ドイツ、カナダ、トルコ、パレスチナ
「天国にちがいない」
監督:エリア・スレイマン
現在イスラエルが統治するパレスチナのナザレに住む映画監督が、映画のプロモーションのために、フランスのパリや、アメリカのニューヨークに行き、またナザレに戻ってくるお話。この監督自身がキリストが生まれたナザレで生まれ育ったイスラエル国籍のパレスチナ人でキリスト教徒ということを考えれば、物語の中の、他人の家のレモンを勝手に取ったり、その樹の世話をする男が「隣人よ、泥棒と思うな。ドアはノックした。誰も出てこなかったのだ」と叫ぶ意味が少しは理解できるのではないだろうか。
私はこの監督の映画は「D・I」しか見たことがないので、この映画についてはパンフレットの監督自身の言葉を引用したい。
「本作は、周縁の、些細な、あるいはいつもは焦点から外れている瞬間を描いている。したがって、映画は親密で、やさしく、琴線に触れるものにアプローチしている。それは、疑問と希望の両方をもたらす。アイデンティティーにまつわる個人的かつ人間的な物語だ。」