書名:日本古代呪術
著者:吉野裕子
発行所:講談社 2016年第1版発行
この本の原本は1974年5月ということらしいが、私は最近この本を読んだ。1974年といえば、ウーマンリブ運動が盛んだったころだと思うが、そんな時代に日本人の原始信仰に男根と女陰を置いたこの本はどれぐらい注目を浴びたのだろうか。私はまったく知らなかった。
面白そうな部分を抜粋する
「山の神・白猪は女陰の象徴で」
「戦とは時に女陰の呪力較べであって、その呪力に、より強く支えられているものが勝つのである。」
現代人からみたらとんでもない言説に見えるかもしれないが、歴史をみればそうなんだと思っている。具体的には興味がある人は、殷の時代の巫女の役割について調べてみるとか、日本のことなら古事記を読めば、男たちは武装していても敵の呪術の前では逃げ腰で、巫女に頼らなければならない様子などがよくわかる。
学生時代に女性解放をスローガンにしている政治団体が、集会ではいつも「銃後の守りにされた女性の歴史を・・・」と言っているので、彼らに「社会構造の問題を性差別と混同しているだろ」といったら、「我々は政治団体だ。お前は学者と論争していればいい」と言われて以来、性差別を叫ぶ政治団体には近寄らないようにしている。もちろん、現代の女性が生きづらい世の中であることはよく理解しているつもりだ。私が現役時代には、女性より能力のない男どもがやたらと威張っていた職場だったと思っている。