kiyomizuzaka48の日記

一日一日を楽しく暮らしている老人の暇つぶしです。使用しているカメラはZ50とZ6とCOOLPIXーW300です。適当に撮って楽しんでいます。

白い牛のバラッド

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2020年 イラン・フランス
監督:ベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム

俳優:マリヤム・モガッダム、アリレザ・サニファル、プーリア・ラヒサム、


イランは中国に次いで死刑を実行されている数が多い国だ。この物語はそうしたイランで夫を死刑にされたシングルマザー(ミナ)がある日、裁判所から真犯人がいたことを告げられる。彼女はその日から夫の名誉を挽回すべく、判決を下した裁判員たちに謝罪を求めるが、裁判員たちは賠償金を支払うが、彼女への謝罪は断る。そこから彼女の戦いが始まった。彼女の戦いは反イスラム的でもあり、イスラム的でもある。そこに彼女の戦いの意味がある。監督のマリヤ・モガッダムは主演女優(ミナ役)でもある。


イランと死刑制度についてはイラン人にも疑問や反対意見を持っている人がいることは、同じイラン人監督のジャファル・パナヒ「人生タクシー」でも表現されている。この映画はイラン国内ではほとんど上映できていないそうだが、死刑制度や女性への差別などを問いかけたこうした映画が作られることにイランの人たちの心が見える気がする。


私がイラン映画が好きな理由は、映画に流れる情念のようなものに私の心がシンクロするからだ。そこに理由はない。私が村上春樹小説に生理的違和感を感じることにも、ただそうだとしか言いようがない。養老孟司は「村上春樹の小説には土俗性がない」と『AI支配でヒトは死ぬ』で語っているが、ひょっとしたらそういうことかもしれないが、理由などこの年になったらどうでもいいことなのだ。村上春樹は学生時代にジャズ喫茶を経営するなどジャズに興味があるようだが、私が学生時代にジャズ喫茶で感じ取っていた情念は、たぶん村上春樹とはまったく違ったものだと思う。だから私は村上春樹の小説を読まない。ただそれだけのこと。