kiyomizuzaka48の日記

一日一日を楽しく暮らしている老人の暇つぶしです。使用しているカメラはZ50とZ6とCOOLPIXーW300です。適当に撮って楽しんでいます。

中村 哲

中村哲氏の著書を3冊読んだ。

アフガニスタンの診療所から」筑摩書店

「医者よ、信念はいらない まず 命を救え!」羊土社

「医者 用水路を拓く」石風社

読み終えて暫く頭を抱えた。私は現代の世界のことを何も解っていないどころか、大きな間違った認識をしている。以下直接これらの著書から、アフガニスタやタリバンについて中村氏が書いていることを引用する。

 

タリバン政権があっという間に倒れる。自由だ解放だと日本でも伝えられましたけれども、私が見る限り確かに「自由」にはなった。でもその自由とは何かというと、タリバン時代はほとんど消滅しておったケシが盛大に復活しました。麻薬をつくる自由。逼迫した女性が売春をする自由。

 

タリバンはいろんな意味で原理主義というよりは、国粋的な政権で、アフガンの慣習法を徹底した。例えば女性にブルカを強制した。これは実は99パーセントの人は強制されているのではなくて、自発的に着ていたのです。

 

アフガン復興支援会議というのがにぎにぎしくおこなわれました。ー中略ー現地政府にくるべきお金が入ってこずに、国際組織の方にお金が入っている。だから国際組織やNGOに貧しい人々の怨嗟が向かっています。

(以上「医者よ、信念はいらない まず命を救え!」より引用

 

そもそも伝統的イスラム社会では「女性」について外来者がとやかくいうのはタブーである。「胸をはだけて歩く女性の権利」や、自然の母性を無視してまで男と肩を並べることが追求される「男女平等主義」こそ、アフガニスタンからすれば異様だとうつる。問題は、このてのプロジェクトが自国受けするテーマとして選ばれたことと、「女性を虐待する許しがたい社会の是正」が錦の御旗としてかかげられた点である。「文化侵略」とうけとられても不思議とは思われない。動あれば反動がある。女性がより自然に社会進出する傾向は、これによって逆につみとられてしまった。

 

追いつめられた時にこそ、ふだんは見えない実態が明らかになる。国際組織たるものがほこり高いUN(国連)の文字をあわてて消すなど、笑えぬこともあった。「アジア系の人を残留部隊にして」自分たちが我先に逃げる計画も普通であった。その狼狽ぶりは皆を落胆させた。「イスラム教徒のメンタリティを疑う」人々が、あっさりと現地を見捨てて去っていく。格調高いヒューマニズムも、援助哲学も、美しい業績報告とともに、ついにガラスの陳列棚からおどりでることはなかった。

(以上、「アフガニスタンの診療所から」より引用)

 

こうしたこと以外にもほとんどの欧米の国際的なNGOは大きな都会でしか活動していないとか、この本から学ぶべきことはたくさんある。

蛇足ですが、中村氏は九州大学医学部卒業のキリスト教徒です。