
「孤独のグルメ」
原作:久住昌之
監督:松重 豊
俳優:松重 豊、内田有紀、塩見三省、オダギリジョー、村田雄浩
グルメ物語なら外れはないだろうと観た。松重 豊が監督ならどんな映画になるのか興味があった。久しぶりに塩見三省を見たいと思った。原作の久住昌之は昔、雑誌「ガロ」で見たたことがある名前だと思って興味があった。パンフレットを読んで原作はマンガでTVのシリーズ番組だったことを知った。
奇想天外な物語進行はマンガだったら面白かったかもしれないが、映画としてはぶっ飛びすぎているような気がした。親族から五島のことをいろいろ聞いたが、確かに島を結ぶフェリーの数は少なく、一日に朝晩2便だけのところもあるらしいし、波も荒いらしいが、さすがに映画の物語のような地域まで流されるということは、小舟でもないだろうと言われた。主役(?)のスープは「海のものと動物の味がする」ということなので、五島列島の島という地域性から飛魚(あご)出汁に沿海物のクジラの肉か脂肪のたっぷりついた皮かと思ったらぜんぜん違った。
昔流行ったグルメ漫画や番組のような、やたらと言葉で味を表現することなく、言葉を最小限に抑えているからか、登場する食べ物に興味を覚えたし、TV番組でよくある、タレント(芸人)が食べ物を口に入れたとたんに目を剥いて「ヤベー!」と叫ぶような演出はなく、静かにゆっくり口をもぐもぐしてから、心の言葉として味を表現していたのが、やっぱり役者は違うなあと思った。
オダギリジョーの料理人は、元フランス料理のコックで中華料理屋をするようになった人物ということなのだが、なんと、スープの味見を小皿のようなものに移してから味見していた。私がTVで見る中華料理人は熱いスープを金属製のおたまで掬って直接口につけて味見したり、イタリア・フランス料理人は金属製のスプーンに掬って、やはり直接口に運んでいるが、そんなことをしたら料理の味はわからんだろうと思う。料理は陶器の食器に移して味見しないと、やけどをする恐れがあるし、熱すぎて味はわからないし、金属の味が混ざって別な味になると思う。このオダギリジョー演じる料理人の料理なら食べてみたいと思った。あと、個人的には鱈より太刀魚を使って欲しかった。
久しぶりに見た杏は、若い頃より魅力的な表情をするようになったと思った。歳に洗われてきれいになったようだ。塩見三省はまだ元気でよかった。ごちそうさま。