kiyomizuzaka48の日記

一日一日を楽しく暮らしている老人の暇つぶしです。使用しているカメラはZ50とZ6とCOOLPIXーW300です。適当に撮って楽しんでいます。

大地の静脈

2020年 モンゴル・ドイツ合作

監督:ビャン・バスレン・ダワー

出演:バド=イレードゥイ・バトムンフ、エネレル・トゥメン

環境問題に直面している家族の物語。静かに淡々と物語が語られる。地下資源を掘削する企業の幹部も行政の役人も、環境問題の専門家もでてこない。

モンゴルでは環境破壊がとても進んでいて、国土全体の砂漠化が進んでいる。砂漠化というと現代では温暖化をイメージするように世界レベルで政治・経済的に宣伝・扇動されているが、モンゴルでの砂漠化は、主に地下資源の採掘による地下水脈の分断などで、川が枯れ、井戸が枯れている。この地下水の枯渇が世界の多くの地域の砂漠化につながっている。アメリカにしても農業用水を地下水に頼っているために、地中の塩分が地表に表れ土地の塩化が進んでいる。塩化すると植物が生育しにくくなる。それが砂漠化につながっていることのほうが、大きな問題だと私は思っている。

話がずれるが、地球上で温度の高い地域は赤道付近だが、その地域は雨量が多く緑が多くて、生物も多様性に満ちている。地球儀で見ればどういう緯度の地域に砂漠が多いのかすぐにわかる。歴史的に見れば、中央アジアの川があって文明が栄えた地域でも、人口が増え農業のために地下水を多く使った地域は土地が塩化し、農業ができなくなり滅びていった。さらに大きな歴史区分でみれば、過去地球レベルで乾燥したのは寒冷化した時で、ホモ・サピエンスがアフリカから世界各地に広がったとされる時期も寒冷化して乾燥化が進んだ時期とされている。現代のモンゴルの首都ウランバートルでは年間平均気温が0.3度。過去最高気温は39度。最低気温は-42.2度。

現代のモンゴルでは地下資源を採掘する大きな企業はロシアや中国などの多国籍企業で、国はそれらの企業をきっちりと監督・管理できていない。また植林をすすめてはいるが、植林する場所を正しく設定していないために、ただ地下水を植物が吸い上げ、その水分は空中で風に乗って東の方の地域(日本など)へ流出するために、逆に砂漠化が進む現象が起きている。

私は近くて歴史的にも繋がりある国のことにあまりにも無知であったとを反省している。