kiyomizuzaka48の日記

一日一日を楽しく暮らしている老人の暇つぶしです。使用しているカメラはZ50とZ6とCOOLPIXーW300です。適当に撮って楽しんでいます。

聖地には蜘蛛が巣を張る

2022年 デンマーク、ドイツ、スウェーデン、フランス

 

監督:アリ・アッバシ

俳優:アラシュ・アティアニ、アリス・ラヒミ、メフディ・バジェスタ

 

この映画はじっさいにあった娼婦連続殺人事件をもとにつくられたもの。

イランの聖地マシュバドで娼婦の連続殺人事件が起きた。犯人は事件を起こすたびに犯行声明の電話をする。「街を清浄化するために、堕落した汚れた娼婦どもを殺しているのだ」と。

男は熱い期待を持って迎えたイラン革命後、思いのほか生活に苦しむことになる。英雄になるはずだったイラン・イラク戦争でも英雄になれず、むなしい生活を送っていた。「戦死していたら俺は英雄になれたのだ。神の近くにいられたのだ。」 家屋の解体現場でハンマーをふるう毎日。社会からの疎外感に苦しむ毎日。ある時男は(汚れた不浄の女である)と街の人々から蔑まれている娼婦たちを殺すことによって英雄になれるかのような妄想に囚われるようになる。ごく普通の毎日。女房子供たちと楽しく暮らす毎日。淡々と働く毎日。神に祈りを捧げる毎日。しかし、彼は次々に娼婦を殺すたびに新聞記者に電話をかけ自分の正当性を訴える。

やがて男は警察に捕まり、弁護士は無罪になりたければ狂人を装えと教える。だが、家族だけでなく多くの街の人が彼の行為を正当だと訴えると、男は英雄気取りで自分の正当性を訴えるようになる。「堕落した娼婦どもを消したのだ。街を浄化したらこの国も浄化するのだ」

監督によれば、この映画は女性差別について問いかけた映画だそうだ。