kiyomizuzaka48の日記

一日一日を楽しく暮らしている老人の暇つぶしです。使用しているカメラはZ50とZfとCOOLPIXーW300です。適当に撮って楽しんでいます。

碁盤斬り

「碁盤斬り」

監督:白石和彌

脚本:加藤正人

俳優:草彅 剛、清原果那、齋藤 工、小泉今日子、國村 隼、市村正親

 

長屋に住む元藩士の父親と娘という設定は、阪本順治監督の「せかいのおきく」と同じだなあと思ってみていたが、元藩士の妻は上司に辱めを受け自殺したということなので、時代劇によくある設定だなあと思った。ただ「碁盤切り」の方は、古典落語をもとにしているということで、どんな演出をするんだろうかという興味はあった。元になった落語は知らないが、ラスト近くで、商家の主人と手代の掛け合いや、盗んだ掛け軸の処理や碁盤を切るという行為は落語そのものだなあと思った。

 パンフレットによると、監督も脚本家も囲碁のファンということからか、エキストラとして本物の囲碁棋士が出ていた。それも一時期囲碁界の全てのタイトルを持っていた、将棋の藤井聡太のような人物である井山裕太や、初代実力制本因坊の孫で三代にわたって囲碁最高段位の九段である関山利道や、祖父から三代の囲碁棋士で現在の日本女流囲碁棋士のトップクラスにいる藤沢里菜など他数名のプロの囲碁棋士が出演していたり、囲碁に関する棋譜や所作の指導などで、多くの囲碁タイトルを獲った高尾紳路など数名のプロ棋士が参加していたのには驚いた。NHK大河ドラマでさへ、碁の指導は一人ぐらいだそうなので、この監督と脚本家の拘りを強く感じる。更に草彅剛扮する元藩士が商人の國村隼囲碁を打つシーンでは、草彅の直ぐ横で井山と藤沢が町人の扮装で囲碁を打っていたのだが、1~2手ではなく少なくとも5手以上打っていたのには「そこまで拘るのかよ」と思った。二人とも日頃の対局では碁石を碁盤に置く(打つ)所作にも拘っていて、美しさや品格を表現しようとしているようなので、アマチュアとの差がよくわかる。特に井山の打つ所作は独特な雰囲気があるので、囲碁に少しでも興味のある人には、この人物がただのエキストラでないことは直ぐにわかる。

 今回も映画そのものに関係ない話ばかりになったが、映画の映像では、やたらと背景を望遠レンズ効果などで強くボカシていたり、部屋の外の景色を強烈なハイキーにして、部屋の中にいる人物を自然光に近い光で撮っているように見えて、これが現代映画かなとも思ったが、念のために「せかいのおきく」のパンフレットや北野武「首」のパンフを調べたが、やっぱりこの映画の映像は独特なように思える。