kiyomizuzaka48の日記

一日一日を楽しく暮らしている老人の暇つぶしです。使用しているカメラはZ50とZ6とCOOLPIXーW300です。適当に撮って楽しんでいます。

超・進化論

超・進化論

著 者:NHKスペシャル取材班+緑慎也

発行所:講談社

 

年末で撮影に出かける暇がないので読書感想文で穴埋め。

この本はNHKスペシャルとしてテレビで放映されたものを本にしたもので、テレビを録画した人には買う必要が無いと思うが、私には必要だったので買った。

内容についてはこの本から引用すると

 きっかけになったのは、植物が、他の植物や昆虫たちと、まるで”会話”をするように、離れた相手にメッセージを送っている、コミュニケーションをとっているという研究だった。

 さらに他の生き物たちについて調べていくと、植物だけでなく、昆虫や微生物もまた、たがいにコミュニケーションを取り合いながら生きていることがわかってきた。

つまり地球上の全ての生きものが相互にコミュニケーションをとって生きているということになる。にわかに信じられないことだが、人間の個体レベルにおいても、体内の臓器それぞれが情報伝達物質をやりとりしているとか、体内・体表の微生物が人間の感情や行動に大きく作用する情報伝達物質を脳や臓器に送っていることが知られていることから、ありえないことではないと判断できる。さらに菌が大気中の雲を形成する高度まで存在していることが知られ、菌の研究者は菌が雲の形成に関与している可能性があると言っている。雲は太陽光を遮り、地上の温度を下げる働きがある。だから宇宙線が多量に地球上に降り注ぐと、雲の量が増え気温が下がると主張する研究者がいる。氷河期を銀河系内における太陽系全体の動き・周期で説明している研究者もいる。また、恐竜が絶滅した原因を、長く続く火山で大気中に吹き上げられた多量のガスや灰などの噴出物が太陽光を遮り気温を下げたため、巨大隕石の衝突以前に個体数を減らせていたとする研究者もいる

 さらに、学校で三角形の進化系統樹を教えられてきた私のような人間にはとても刺激的な内容がある。

 このプロジェクトは、植物、昆虫、微生物を主人公に物語を紡いでいる。多くの自然ドキュメンタリーが描く動物たちと比べると、地味な主人公と思われるかもしれない。しかし、彼らの地球上での進化と繁栄の過程、驚きの能力を知るにつれ、彼らこそが地球上の主人公と思えるほどに、地球にとって大きな存在であることがわかってくる。少なくとも、人間が主人公だという傲慢な考えは吹っ飛んでしまう。そして、多くの人が抱いているであろう「人間が進化の頂点である」といった思い込みも、見事に打ち砕かれる。

 進化論の世界では、人間を頂点としたピラミッド型の進化系統樹は見かけなくなってきた。 

 また、こうした考えが多くの人に共有されれば、森林を壊して太陽光パネルを設置したり、アマゾンの広大な密林を伐採して石油代替オイルをとるためだけのトウモロコシを栽培するというような行為はなされなくなると期待したい。

最後にもう一つ引用しよう。 

 わかってきたのは、生きもの同士をつなぐ、見えない糸の存在だ。すべての生き物は、別の生き物と相互に影響をおよぼしながら、生きている。競争だけではない、生き物同士が種を超えて、思いも寄らない繋がりを持って、支え合って生きている。そうした種を超えた深いつながりこそが、生き物たちのかけがえのない能力を生み出す進化の原動力であるという新しい世界観が浮かび上がってきている。