なるようになる。
著 者:養老孟司
発行所:中央公論社
退院して最初に読んだ本。私と養老孟司の共通点は、世間一般に流布している数字を信用していないということだと思っている。また一般の日本人に人気のある村上春樹や石原慎太郎などについても、私と共通した認識を持っているようだ。そういうことに気づいてからよく彼の本を読むようになった。この本は集中治療室を経験した後で読んだのでその経験から1番、目にとまった場所を引用する。
老いについてですか。別にめでたくもないけどね。歳をとるのも悪くない。(中略)テレビの番組なんかで若い人があれこれ悩んでいるのを見ても、ああ、よかった、こっちは、ああいう青春の悩みはないよ、と思う。(中略)なにより歳をとって怒らなくなった。(中略)この歳になると、けしからんと思うことにも、それなりの事情があることがわかってくる。
(中略)
病気だって自然現象だから、なるようになる、と思っている。老いや病気を敵視している人も意外に多いけれど、歳を取れば、老いるのは当たり前だし、いつかは必ず死ぬ。人の致死率は100パーセントで、この先どうなるかは、なりゆきです。